根尖孔の過剰拡大(難治性の原因の一つ)

根尖孔の過剰拡大(難治性の原因の一つ)

1. 根尖組織を傷害し、慢性痛を誘発しやすくなる。

【さらに詳しく】根尖の周囲の神経を傷害し刺激してしまうと、末梢の神経線維が発芽・増殖し、種々な神経ペプチドが放出されます。その結果、炎症がさらに拡大するとともに、末梢神経の過敏化がおこります。必然的に中枢神経系への連続的入力の増加となり、中枢神経系に閾値の低下・侵害受容野の拡大・軸策発芽による新たなシナプス結合・痛み抑制系の消失などの変化が起き、中枢神経系自体も過敏化します。

自発痛や打診痛が持続するような病体が成立し、その後の処置が難しくなります。

2. 根尖孔の微小漏洩を起こしやすくなります。

【さらに詳しく】直径が2倍になると面積は4倍となります。その結果、細菌などが歯の外に出やすくなります。治療の最中も薬剤などの刺激が伝わりやすくなります。

歯内療法において原因菌とされる細菌の大きさが約1~3▊(0.001~ 0.003㎜)である

3. 根管の本来の形からそれてしまうことがある。

【さらに詳しく】根管の形が逸れてしまうと、本来の根管の清掃が困難になるため、成功率がさがります。

4. 過剰根管充填を招きやすい

【さらに詳しく】根尖孔が大きく拡大されてしまうと、根管充填材が溢出しやすくなります。その結果、根尖組織の治癒を妨げ、持続的な炎症を起こします。過剰根管充填は結合組織性瘢痕治癒の状態が長くなるといわれている。

5. 創面の拡大により、理想的な治癒を妨げる

【さらに詳しく】根尖の理想的な治癒形態は第二セメント質の添加か、骨性瘢痕治癒とされているが、創面の拡大によりそういった理想的治癒が困難となる。

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